矯正で歯を抜く理由。
今回は「矯正における抜歯」をテーマにコラムを書こうと思います。
よく初診時のカウンセリングで「歯を抜かずに済むなら矯正したい」とおっしゃる患者さんがいます。
実際僕らの仕事は「歯を守ること」であるのでその考えは凄く良いことだと思いますし、気軽に歯を抜きたがる患者さんよりよっぽど好感を持てます、笑
ただし、タイトルにある通り矯正における抜歯は「便宜抜歯」と呼ばれるもので「目的があり、それに好都合なので抜く」ものです。
抜歯しなければいけない歯並びというものは、基本的に
顎の大きさ < 歯の大きさの合計
のため混雑しているので、綺麗に並べるためには
顎を大きくする もしくは 歯を小さくする
のどちらかが必要になります。
成長期の子供であれば顎を成長させることが可能ですが、限界もあるし中学生になってしまえば、なかな成長させること自体も難しくなります。
そのため、次の手段として歯の大きさの合計を小さくすることが必要になります。
歯の大きさの合計を小さくする方法も2つあり
一つ、一つの歯を削る or 歯の本数を減らす
です。
もちろん僕らの歯医者の目的は「死ぬまで自分の歯で噛める」というのが最大の目的のため、歯を削ってしまってでも、抜いてでも、それが歯を守ることに繋がる場合のみ行っていきます。
つまり、歯を削る抜くをしてでも歯並びを綺麗にした方が将来プラスになる
=今の歯並びだとハブラシが上手に出来ずに10年後虫歯で歯がダメになる可能性が高い、咬み合せが悪く28本ある歯のうち16本しか噛めていない
などが歯を並び替えることが「治療」になりえる大切なポイントです。
そのため歯を削るか抜くかの判断も、将来の歯の保存を考えた上で「歯を削り過ぎてしまうと十数年後に2本以上歯を失うリスクが高い」時に、抜歯を選択します。
このような判断で歯を抜くか削るかを決めていくため、単純に歯を抜くのが怖いという理由を除けば(大きな理由だとは思いますが、笑)、抜かないに拘り過ぎると治療でなくなってしまうというデメリットがあります。
ちなみに抜く歯は口腔の状態で様々ですが、基本的には小臼歯と呼ばれる真ん中の歯を抜いていくことが多いです。
理由は「あまり役に立っていない」からです。
もちろん虫歯が大きいなど、それ以上に役に立ちそうのない歯があればその歯を抜いていくこともあるのですが、見た目のバランス等もあるので抜く歯は慎重に選択していきます。